first 9
「あ、亨〜。すごいね〜盛況だね〜」 「うん。みんなのおかげだよ。小夜も、友達をたくさん連れて来てくれたしね」 「えへへへへへ、うん、頑張った。麻衣も、来てくれたしぃ」 真っ赤な顔をさらに真っ赤にさせて嬉しそうに話す姿を見れば、どうして今回はあんなにしつこかったのか、簡単に分かってしまう。 常に多くの人間に囲まれていた青年を見上げて、麻衣は、なるほど、と納得した。肩まで伸ばした金髪に、褐色の肌。いまは笑みで和んでいるが、きつい、整った顔立ちは‥‥‥小夜が好きだと叫んでいたボーカルに良く似ている。 (‥‥‥‥これが小夜の好きな人かぁ‥‥‥‥) 麻衣を置き去りに楽しそうに話す二人をぼんやりと眺めながら、視線は、ついつい入口に向かってしまう。
『‥‥‥‥‥‥‥‥‥遅くなるなら、連絡しろ』
低い声が紡いだ言葉を聞いた時は、真剣に空耳だと思ったものだ。 まさか、そんな馬鹿な、と顔に書いてあったのだろう、呆れたような吐息と一緒に額を弾かれた。
『‥‥‥‥‥‥‥‥‥迎えに、来てくれるの?』 『‥‥‥‥‥‥‥‥‥ついでだ』
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