first 19

 

 心地よい熱が胸にじわりと満ちて、声になって漏れる。

「‥‥‥‥‥‥ナル‥‥‥‥‥‥大好き‥‥‥」

 囁いた途端、強く抱き締められて、キスされた。

 先ほどの優しいキスとはまったく違う、息付く暇もない激しいキスに、麻衣の思考は絡め取られて、真っ白に染め上げられた‥‥‥。

 

     ※

 

 不意に、意識が、浮上する。

 麻衣は、目を瞬いた。

「‥‥‥‥‥‥ナル‥‥‥‥‥‥」

 すぐ間近で目を閉じている綺麗な、綺麗すぎる、顔。

 ブラインド越しに漏れる朝日が、照らし出す様は、息を止めるほどに綺麗で‥‥‥‥‥‥夢のようだ。

 けれど、夢ではない。

 無茶苦茶だるくて重い体が、証明している。

 まるで、嵐のようだった。

 なにがなんだか分からなくて、しがみついているだけで精一杯で、最後の方は記憶がほとんど残ってない。

 しみじみ思い出して、恥ずかしくなって、暴れたくなるが我慢する。

 ナルは良く寝てる。起こすのは悪い。

 それに、寝顔をじっくり見れる貴重な機会を、そんなことで台無しにしたくなかった。

    ‥‥‥‥‥‥lastkissmenu    back   next