終わりよければすべて良し。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しんとうあい6〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぶわり、と、押し倒したイルカから怒りのチャクラが膨れ上がるのを感じて、カカシは、咄嗟に、飛び退いた。拘束することなど容易かったが、チャクラに反射的に反応して、傷つけてしまうことを恐れたのだ。

「‥‥‥ふ、ざんけなっっっ!」

 イルカは、怒っていた。

 これ以上はないほどに真剣に。

 そして、泣いていた。

 これ以上はないほどに痛々しく顔を歪めて。

「五代目に‥‥‥なんて失礼なことをっっっ!」

 けれど、カカシには、その怒りがいまいち良く分からない。  

 失礼?

 なにが?

「あの方は火影様なんですよっっっ!そんな邪な目で見たことはありませんっっっ!」

 叫ぶイルカの言葉のどこにも、カカシは、嘘を見出せなかった。

 けれど、納得がいかない。

「‥‥‥じゃあ、なんで、見とれていたのさ。あんた、うっとりしていたよ?」

「う‥‥‥うっとりなんかしてません!」

「嘘だね」

「嘘じゃありません!」

「じゃあ、今日‥‥‥ああもう昨日か。昨日の昼間、五代目を見て、なに考えてたのか、正直に白状しなさい」

「‥‥‥昼?」

「そう、昼。昼の休憩が終わったぐらいかな」

「‥‥‥」

 ほんの微かな表情の変化も見逃すまい、と、カカシはイルカを見つめた。

 イルカは、微かに遠い目をして‥‥‥。

「‥‥‥」

 眉間に皺を寄せた。

「どうよ?」

「別に変なことは考えてません」

 イルカは胸を張った。

「‥‥‥五代目が居て下さって有り難いと思っただけです」

 それだけでは納得などできるわけがない。

 カカシは、胸を張るイルカに躙りより、細かく問い詰めた。

「‥‥‥その辺りのことを、もっと、詳しく話しなさい」

「‥‥‥詳しくって‥‥‥みんなが笑っていて」

「笑っていて?」

「穏やかで‥‥‥ああ、乗り越えたんだなって‥‥‥。三代目が亡くなってから、本当に忙しくて‥‥‥なにがなんだか分からない内に時間が過ぎていって、落ち着くなんて考えられなかったけど‥‥‥みんな、俺も、笑っていて。五代目が居て下さるのが当たり前で‥‥‥それがすごく心強くて‥‥‥寂しいけど、嬉しかったんです」

 話しながら伏せられた眼差しの奥に、カカシは、いまだ癒えていない傷を見出す。嬉しいと言いながら、哀しい、寂しい、と、叫ぶ子供を見付ける。

 けれど、その陰りは、表面の笑みに隠されてしまう。

「‥‥‥ちょっと困った所のある方ですけど‥‥‥心強いなって思います」

 そして、そのうっとりとした眼差しは。

 確かに。

 あの時のものだ。

 夢見るような。

 焦がれるような。

--------ああ。

 カカシは、いま、やっと、己の勘違いに気が付いた。

 その表情を見た時、駄目だ、と、思った。

 奪われてなるものか、と、焦った。

 けれど、違う。

 イルカの眼差しは、カカシが思っていたものとはまったく違った。

 それは‥‥‥人を見る目ではない。

 カカシにとっては、五代目は、確かに心強く、偉大だが、人だ。

 三代目も、そうだった。

 四代目も。

 けれど、イルカにとっては、違う。

 イルカは、見上げて、焦がれている。

 心惹かれてはいるが、それは、手の届かない遠い存在を思うような気持ちだ。

 太陽を。

 月を。

 空を。

 天を。

 見上げるようなものだ。

 それとも、あるいは、五代目を通して、逝ってしまった三代目を見ているのかもしれなかった。

 どちらにせよ‥‥‥。

--------あーあ。

 カカシの早とちりの勘違いであることは間違いない。

 こんなことが分からなかったなんて、と、情けなくなる。

 だが、イルカに関しては、いつだって、こんな感じで、余裕がないのだから、仕方ないと言えば仕方ないかもしれない。それに、なかなか、イルカが熟れなくて苛立っていたのもあるだろう。

 頑ななのは分かっていたが‥‥‥もう少しなんとかならないだろうか、と、作戦を変えようかと思っていた所だったのだ。

 まあ、簡単に言えば。

 タイミングが悪かったと言うことだ。

--------まいったなあ。

 だが、そんな理由を話しても、イルカは納得してくれないだろう。

 暴走してしでかしたことを考えれば、なにもかもおしゃかだろう。

 いままで培った信頼を吹っ飛ばしたことは間違いない。

 だが、警戒されるのは良いが避けられたら‥‥‥怖い。

 煮詰まった自分がなにをしでかすか分かってしまうだけに。

--------なんとか言いくるめられないだろうか。

 カカシは、思考を立て直す。

 体を陥落するのは、容易い。

 目の前には美味しそうな体がさらけ出されていて。

 食いつきたいばかりだ。

 けれど、熟れていない青い実を、壊すのは嫌だった。

 ならば、取るべき道は、一つ。

「‥‥‥あー、イルカ先生、ごめんなさい」

「‥‥‥え?」

 カカシは、潔く謝ることにした。

「俺、勘違いして、嫉妬して‥‥‥暴走しました。大好きなイルカ先生を五代目に取られるのかと思ったら怖くて‥‥‥。五代目は‥‥‥一応、女の人ですし‥‥‥見た目は若いもんだから‥‥‥もしかして、と、思っちゃったんです」

「‥‥‥な」

「ごめんなさい。ほんとうにごめん‥‥‥怖かったでしょ?」

 また怒り掛けた可愛い人に、優しく問い掛ける。

 本当に、心から、優しく問い掛けることができた。

 先ほどの苛立ちは嘘のように消えていた。

--------可哀想に。

 いまは、本当に、そう思えた。

 信用しかけていた男に襲われて泣かされて。

--------なんて、可哀想な、可愛い人。

 優しく甘やかしてあげたくて仕方ない。

 もう大丈夫ですよ、と、宥めてあげたい。

 調子が良いのは百も承知。

 けれど、それが、本当の心だから仕方ない。

「‥‥‥ごめんね。本当に、ごめん。嫉妬に狂って‥‥‥酷いことしてごめんなさい」

「‥‥‥し‥‥‥しっと‥‥‥」

「うん、嫉妬したよ。もう、体中が燃えるかと思った。苦しくて哀しくて‥‥‥息するのも大変だったよ」

 正直に告げると、可愛い人は、ぽんっっ、と、赤くなった。

 そして、なぜか、固まった。

「‥‥‥ともかく、お風呂入りましょう。もうなんにもしないから、イルカ先生が、俺のこと好きになってくれるまでちゃんと待ちますから‥‥‥ちょっとだけ信用して?」

 優しく優しく優しく言い聞かせると、可愛い人は、なんだか、困っていた。まあ、いきなりそんなこと言われても信用できないか、とは、分かっている。

 けれど、そのまんまだとねえ。

 とりあえず、胸だけ戻しておくか。

「解」

 ぼわん、と、白い煙が上がって、可愛い胸に戻っていた。

 やっぱり、こっちの方がいい。

 小さな可愛い実を、可愛がってやりたくて堪らない。

 けど、まあ、今日は、我慢、我慢。

「‥‥‥あ‥‥‥あの‥‥‥あの‥‥‥」

 さて、まずは、お湯を張らないと。

 それから、優しく優しくなにもかも洗い流してあげよう。

「‥‥‥立てます?」 

「‥‥‥え‥‥‥あの‥‥‥」

 可愛い人は、なんだか、赤い。

 ますます赤い。

 そして、視線はなんだか下に‥‥‥。

 下?

「ああ、気にしないで下さい。その内に治まりますから」

 気にしているのがなにか分かって、納得した。

 そこは、正直に、まだ、立ち上がっていた。

「一応、上忍ですから。性欲のコントロールぐらいはできますから」

「‥‥‥で‥‥‥でも‥‥‥あの‥‥‥苦しくないですか?」

 それは当然、苦しい。

 苦しいというか、犯りたい。

 先ほどまでの怒りを嘘のように消して加害者を気遣ってしまう無防備で可愛い人の、後ろの口に、突っ込んで、奥を突いてやりたくて堪らない。

 けれど、そんなことを正直に言うほど馬鹿ではない。

「‥‥‥大丈夫ですよ」

 そんなことよりいまは優しくしてやりたい。

 折角築いたのに損なった信頼を少しでも回復しておきたい。

 けど、なんとなく、ちょっとだけなら許されるような感じだった。

 ちらちら見上げる眼差しが、色を含んでいる気がする。

 いままで散々口説いた時には、まったくなかったなにかがある気がする。

「‥‥‥ねえ、イルカ先生」

 ならば、試してみよう。

 折角だしね。

「‥‥‥あなたの虜になっている可哀想な男に、ちょっとだけ同情してくれませんか?」

「‥‥‥と‥‥‥と‥‥‥」

「うん。俺、あなたの虜なんです。奴隷なの。あなたが望むならなんだってしてあげたいんだ」

「‥‥‥ど‥‥‥ど‥‥‥」

 目を白黒させているけれど、可愛い人は逃げない。

 近付いても、大丈夫。

 ますます赤くなるだけだ。

 そして眼差しが‥‥‥なんだか色っぽい。

 先ほどの薬が、今頃、効いて来たのかもしれない。

「‥‥‥射れたりしませんから、手伝って?俺のせいだけど、イルカ先生も、体、熱いでしょ?‥‥‥吐き出さないと後で苦しいから、ね、ちょっとだけ」

 優しく、そして、甘えるように告げて、さらに近付くと、ごくり、と、喉を鳴らす音が聞こえた。体が固まっていて、でも、拒絶は感じられない。

--------可愛いねぇ。

 喰らい尽くしたいと身の内で叫ぶケダモノを宥めながら、カカシは、そっと、可愛い人に触れた。まずは、手を取って、手の甲にキスを。そして、赤くなった頬に頬を寄せる。

 抵抗はない。

 まだ固まっている。

 びくびく震えながらも逃げようとはしない。

--------本当に、可愛いねぇ。

 逃げられない可愛いエモノを見下ろして、カカシは、にっこり笑った。

 そして、半ば立ち上がっている可愛いモノに手を伸ばして、完全に立ち上がった自分のモノと一緒に握り込んだ。

「‥‥‥え‥‥‥やっ!」

 いまさら我に返り暴れる体を抱き締める。

 そして、耳元で、大丈夫、大丈夫、と、囁いてやる。

「‥‥‥すぐ済むから、暴れないで。大丈夫、射れたりしないよ。それに、気持ち良いでしょ?」

「‥‥‥んっ‥‥‥やっ‥‥‥やっ!」

 ぱさぱさと振られる髪がくすぐったくて可愛くて。

 立ち上がって元気になったモノが可愛くて。

 カカシは、たまらなく、気持ちよかった。

「可愛い、可愛い‥‥‥大好きだよ、イルカせんせ」

「‥‥‥や‥‥‥や‥‥‥嘘つき‥‥‥」

「嘘なんかつかないよ。大好き。‥‥‥愛してる」

「‥‥‥う‥‥‥うそ‥‥‥」

「本当。もうイルカ先生が居ないと生きていけないぐらい、本気」

「‥‥‥」

 心を込めて囁けば囁くほどあがく力が弱くなっていく。

 それが可愛くて、仕方なくて。

 このまま最後までいこうかなーとも迷う。

 けれど、可愛い人に嘘はつきたくないから。

 とりあえず、今日は、射れるのは、我慢することに決めて、擦り合わせる手を、早めた。

「‥‥‥ん‥‥‥ん‥‥‥んんんーっっっっ!」

 けれど、勿論、一回で終わらせるわけがないけれど。

 それは、いまは、内緒にして。

 とりあえずの一回を、可愛い忍らしく引き締まったお腹に、ぶちまけた。

 勢いが良すぎて頬にまで飛んだのは、嬉しい誤算で。

 可愛くていやらしくて溜まらなかった。

 

 

   

 

 

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