気が付くと‥‥‥。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 猫日和5

 

 

 

 

 

 

 

 

 気が付くと、なんだか、足が見えた。

 合間に、銀色の髪が見えた。

 動いていた。

--------ぐちゅ。

--------ぐじゅ。

 熱かった。

 体中が熱くてもどかしくて溜まらなくてイルカは体をよじった。

 途端、熱くたぎった場所を強く吸われて‥‥‥。

「‥‥‥ふっ‥‥‥えっ‥‥‥ああっっっ!」

 ようやく我に返った。

「ふふ、やっと、目が覚めたんだねぇ」

 イルカはそのまままた意識を喪いたかった。

 なにも気が付かないでいたかった。

 だが、もう、できない。

 目が離せない。

「可愛いねぇ」

 里の誉れ腕利き上忍が楽しそうに笑って見つめて舐めるのは‥‥‥。

「‥‥‥や、やめ‥‥‥」

 先ほど、熱を吐き出して、うなだれた自分のモノだった。

 しかも、可愛い可愛いと撫で回している。

 さらには、先をぐりぐりいじり回している。

「‥‥‥や‥‥‥や‥‥‥」

 イルカは逃れようと足掻いた。

 だが、足に力が入らない。

 そして、先ほど吐き出したばかりなのに‥‥‥また‥‥‥。

「ふふ、大きくなってきたねぇ。また、しゃぶってあげようか。それとも、根本をきゅっと縛って苛めてあげようかなぁ」

 笑いながらしごかれてイルカのペニスは、いともたやすく立ち上がった。

 もっと構って欲しいと強請るように、いやらしい蜜を垂らしながら。

--------な、なんで‥‥‥。

 自分の体の反応が理解できなくてイルカは混乱した。

 イルカの性欲はかなり薄い。

 一日に何回も吐き出すなんてことはまずないし、熱が体中に篭って苦しいなんてこともなかった。

 なのに、いまは‥‥‥。

「‥‥‥気持ちいいみたいだね。腰が揺れてるよ‥‥‥尻尾もね」

 気持ち良い。

 逃げたいのに、逃げられない。

 気を抜くと、もっと、と、強請りたくなる。

「‥‥‥いや‥‥‥やっ‥‥‥やっ‥‥‥」

「嘘吐き」

 楽しそうな声が響くと同時に、ぐっ、と、後ろに指が入り込む。

 逃れようと足掻くイルカをあざ笑うように、たやすく、奥まで。

「‥‥‥いあっ‥‥‥あっ、あっ、あっ」

「慣らしておいたから痛くないでしょ?」

「‥‥‥いやっ、やっ‥‥‥」

 前と後ろを同時に責められて、立ち上がった乳首を舐められて、イルカは、鳴いた。だが、最後の最後で、まだ、意識が残っていた。

「ねえ、もっと気持ちよくしてあげるから、頷いて」

「やっ‥‥‥やあっっ」

「あんた、俺のこと、好きでしょ?」

「やっ‥‥‥やっ、やっ、やぁっっ」

「奥にぶち込んで欲しいんでしょ?」

「んあっ、やっ、はっ‥‥‥ああっっ!」

 気が狂いそうな熱の中、イルカは、必死に首を横に振った。

 なんで横に振っているのか分からなくなりそうになりながら、ただ、必死に。

「‥‥‥強情だねぇ」

 頷いたら、終わり。

 終わりなのだと、イルカは、知っている。

 それは、怖くて、怖くて、怖くて、一番、怖くて。

 だから、どうしても、頷けない。

「‥‥‥仕方のない子だねぇ。俺に、あんまり、酷いことさせないでよ。可愛く頷いてくれたらお仕置きは勘弁してあげようと思っていたのに‥‥‥」

 ぐぢゅ、と、イルカの内側を指で抉りながら、カカシは、冷たい笑みを浮かべた。そして、手際よく用意されていた細い紐を、立ち上がったイルカのペニスに巻き付けていく。

「‥‥‥意地悪したくないのになぁ」

 言葉とは裏腹に、ひどく、楽しそうに。

 けれど、どこか、哀しそうに。

 

 

     ※

 

 

「‥‥‥それで、ガイはなんて言ったの?」

 耳元で囁かれる声を聞きながら、イルカは、腰を振った。

 なんとかしてほしい、と、嘆願する。

 だが、高く上げられた尻は、宥めるように撫でられるだけで、助けては貰えない。それどころか、さらに奥まで、つつかれる。

「‥‥‥いあっ‥‥‥あっ」

「尻尾、美味しそうだねぇ」

 くくくくく、と、笑いながら、カカシが掴むのは、イルカの黒い尻尾だった。

 その先は、カカシが散々にいじってやった後ろの口に、突っ込まれている。

 そして、早く解放して欲しいと涎を垂らすイルカの性器には、可愛いピンクの紐がくくりつけられ、蝶々結びされていた。

 イルカはもう限界だった。

 頭の中はもうぐちゃぐちゃで。

 解放される為ならばなんでもしただろう。

 だが、いざそうなると、カカシはイルカに頷けとは言わなかった。

 代わりに、今日一日の出来事を訊ねた。

 そんなこと。

 もう。

 考えることも難しいと分かっているだろうに。

「‥‥‥おちんちん縛られて尻尾くわえ込んで‥‥‥やらしくて可愛い先生だねぇ。可愛いねぇ」

「‥‥‥もっ‥‥‥たすけっ、うあっ」

「うん。射れて奥までかき回してあげたいけどねぇ、まだまだ、駄目みたい。だって、イルカ先生、俺のこと、嫌いなんでしょ?」

 いまさらな問い掛けだった。

 勿論、嫌いだ。

 人の意見なんか全部無視して、好き勝手にする人を、誰が、好きになれるというのか。それに‥‥‥。

「うん。それに?」

 好きになんてならないとイルカは決めていた。

 だって、駄目だ。

 なにがあっても駄目だ。

 どうしても駄目だ。

 好きになったらいけない。

 だって。

 イルカが。

 大切に。

 思ったりしたら。

「したら?」

 みんな。

 みんな。

 居なくなったから。

 強い。

 強い。

 強い。

 三代目も。

 居なくなったから。

 きっと。

 この人も。

 居なくなる。

「‥‥‥」

 だから、嫌い。

 嫌い。

 嫌い。

 嫌いなままで居れば。

 ずっと。

 ずっと。

 大丈夫。

「‥‥‥ああ、あんた、だから、三代目が居なくなってから、態度が堅くなったのか。馬鹿だねぇ。‥‥‥あんたの気持ちなんてね、そんなちゃちなもんで、世界は動きませんよ。あんたがどう思おうと、なるようにしかならないんですよ」

 嫌い。

 嫌い。

 分かっているケド。

 でも。

 怖いから。

 嫌い。

「ふふ、嫌いって言いながら縋り付かれるのも気持ち良いもんだねぇ。ま、あんたが、俺のこと好きなのは分かってたけどね。でも、そろそろ、待ってあげるのも飽きたんですよ。だからねぇ、くだらないおまじないなんか止めて、なにもかも俺に預けなさい。怖いのも辛いのも哀しいのもなにもかも預かってあげる。あんたが望むならなんにも考えられないようにしてあげるよ」

 嫌い。

 嫌い。

 ‥‥‥やめて‥‥‥。

「好きだよ」

 いや‥‥‥だ。

「馬鹿で臆病でおまじないなんか信じてる間抜けなあんたが可愛くて仕方ないよ」

 ‥‥‥やめ‥‥‥。

「ねえ、良く考えてみなよ。あんた、俺がこのまま居なくなったら、後悔するんじゃない?本当のことをどうして言わなかったのかって、後悔しない?」

 ‥‥‥いや‥‥‥だ。

 ‥‥‥やめ‥‥‥。

「三代目、笑ってたじゃない。あのじいさんは不幸だった?‥‥‥俺は、あんな幸せな死に方はないと思うよ。自分のいっちゃん大切な物を守りきったんだよ?そりゃあ、残していくのは心配だっただろうけど‥‥‥自分が誇らしくて満足だったんじゃないかなぁ。ねえ、だからさ、あんたが、そんなこと思ったら、あのじいさんが気にしていたあんたがそんな風にいつまでも傷ついてたら、その方が、じいさん、可哀想じゃない?‥‥‥あんたを傷つけたくて死んだわけじゃないんだからさ。あんたを含めた里を守りたくてあんなよぼよぼなのに頑張ったんだからさ。‥‥‥あんたは、だから、幸せになるんだよ。ならなくてはいけないんだよ。それが、一番の、手向けじゃない?」

「‥‥‥で‥‥‥でも‥‥‥」

「ほら、紐、取ってあげる。出していいよ」

「‥‥‥んっ、あっ‥‥‥あああああっっっ!」

「いっぱい出たねぇ、気持ちよかったでしょ?ほら、後ろも取ってあげる」

「‥‥‥んっ、あっ、やっ‥‥‥」

 唐突に解放されて、イルカは、震えた。

 なにが起きたか分からなくて、ただ、青と赤の眼差しを見上げる。

「本当に嫌なら、もう、なんにもしないよ」

「‥‥‥」

 ひどい、と、イルカは思った。

 なにもかもが熱くて。

 なにもかもが途中で。

 なにもかもが物足りない。

 それが分かっていて微笑む男は、本当に、ひどい。

「‥‥‥ねえ」

 触れずに耳元で囁く声は、低く、甘い。

「‥‥‥俺のこと、嫌い?」

 ずるい、と、イルカは思った。

 いつもいつもいつも好き勝手している癖に。

 こんな時だけ、そんな顔をするのは狡い。

「‥‥‥ねえ、嫌い?」

 でも、まだ、言葉にするのは恐ろしい。

 明確な言葉は、怖い。

 だから、イルカは、手を伸ばした。

 哀しそうな顔をして無害そうな振りをしているだけの、凶悪で強い銀色のケダモノに。

「‥‥‥嫌い‥‥‥では‥‥‥ありません」

「いじっぱりだねぇ。じゃあ、抱かれるのは、気持ち悪い?」

「‥‥‥気持ち‥‥‥悪くは‥‥‥ないです」

「‥‥‥仕方がないなぁ。ま、今日は、そのぐらいで勘弁してあげる。可愛い姿をいっぱい見れたしねぇ」

 でもね、と、低い声が耳元で響く。

 イルカは、その声に、嫌な予感を感じた。

「俺をじらすならそれなりの覚悟をして貰いますよ。まあ、まずは、お腹の中を俺のモノでたぷたぷにしてあげますからねぇ」

「‥‥‥‥‥‥」

「ふふ、誕生日プレゼントに、俺をぶち込んであげますからね」

 イルカは、なんだか、ものすごく間違った気がした。

 なにかを見落としている気がした。

 だが、それを考えている暇などなかった。

「‥‥‥ほーら、プレゼント仕様ですよー」

 目の前でこれ以上はないほどそそり立つモノは、予想外の大きさだった。

 ピンクのリボンがものすごくいやだった。

 だが、イルカは、逃げられなかった。

 腰をがっちりと掴まれて逃げられなかった。

「‥‥‥む‥‥‥む、無理っっっ!」

「大丈夫、大丈夫。ちょっと裂けるかもだけど、すぐ慣らすから」

「‥‥‥いた‥‥‥いたいっっっ!」

「泣かない泣かない。もっと泣かせたくなるじゃない」

「‥‥‥いあっ‥‥‥あっ‥‥‥あっ」

 めりめりとめりこんでくる異物感に喘ぎながら、イルカは、ものすごくものすごく後悔していた。だが、もはや、止めて貰えるわけがない。

「あー、気持ちいい。もう‥‥‥抜きたくない。ずっと入っていたい」

 不吉な台詞を聞きながら、イルカは、背筋を震わせた。

 そして、

「‥‥‥ちょ、締め付けないでよ、気持ちよくて、我慢ができなくなるでしょ。壊されたいの?そっか、壊されたいんだね。まーかせて。もう、俺が居ないと生きていけないようにしてあげる。もちろん、いけないようにもしてあげる」

 意図せずカカシを喜ばせて、暴走させ‥‥‥。

 そんなことは言っていない、誤解だ、と、訴えることもできないままに。

 好き放題された。

 まるでいままでの鬱憤を晴らすかのように。

 それはもう。

 ねちこく。

 しつこく。

 たっぷりと。

 お腹の中をたぷたぷにされた。

 

 

 

 

 

 

 

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