恐ろしいのは‥‥‥。
秘め事2
口を大きく開けて、イルカは、カカシのモノを口に含んでいた。そして、必死に、気配を断っていた。 どうか気付かないでくれ、と、祈りながら、小さくなっていた。そんなイルカの願いなど知るわけもなく、酷く真面目な声が響く。 「‥‥‥ですから、今年度のカリキュラムは‥‥‥実戦を重視しまして‥‥‥」 声の主をイルカは知っていた。 アカデミーの同僚だった。 今年から、カリキュラムの総責任者を任せられていて、大変だと苦笑しつつ、頑張っていた。 アカデミーは里の未来だ。 子供たちは里の宝だ。 その宝を導く基礎を決めるのだから、その責任は重い。 イルカも任せられたことがあるが、その責任の重さに、何度、挫けそうになったことか。当たり前のように与えられていた流れが、多大な苦労と、ありとあらゆる事態を想定して、緻密に組み立てられていると知って、本当に、本当に、今までの責任者たちに頭が下がる思いだった。 だが、そんな時は、いつだって‥‥‥。 支えてくれる優しい人が居た。 --------その人が、いま、イルカに、こんなことを、強要している。 それが、イルカは、いまも、信じられない。 なにかの間違いではないかと。 夢ではないかと思っている。 けれど、そんな逃げは許してくれない。 動きを止めたイルカを咎めるように、手が、頬を軽く叩く。 その手は間違いなく、彼の手で。 イルカが舐めているのは、間違いなく、彼のモノで。 そこは、火影の執務室で。 イルカが居るのは、執務机の中だった。 --------なんでこんなことに。 「‥‥‥特に、昨今は、砂の里との連携によって‥‥‥」 同僚の声が聞こえる。 こんな所で、自分は、一体、なにをしているのか。 --------どうして。 叫びたくなる。 逃げたくなる。 なにもかもから。 けれど、逃げられるわけもなく、ここから出ることもできるわけがない。 助けを求めることもできない。 それは、これを強いているのが里の最高権力者だからという理由だけではない。イルカは、人前に、出れるような格好をしていなかった。 『あなたの役目はね、俺が、その気になったら足を開いて、受け入れることなんですよ』 冷たく言い切った彼は、イルカに、まともな服を着せようとはしなかった。 かろうじてゆったりと羽織る大きめの浴衣のような物は羽織らせてくれるものの、下着類は一切を禁じ、言葉通り、その気になったら、その場で、イルカの足を開いて、イルカを抱いた。そして、流石にそれが無理な時でも、気が向けば、イルカを様々なモノでなぶった。 いま、この、時のように。 --------‥‥‥ヴンンン。 びくり、と、イルカは体を震わせた。 そして、思わず、カカシのモノに軽く歯を当ててしまった。 --------しまった。 そう思っても、もう、遅い。 --------‥‥‥ヴンンンンンンンンンン。 イルカの中にねじこまれたモノは、微かな振動音をさせて、一気に、動き出した。 「‥‥‥‥‥‥っっっっっ!」 声を必死に抑えながら、イルカは、歯を当ててしまったカカシのモノを必死に舐めた。反省している、ごめんなさい、と、言う代わりに、ただ、必死に。 カカシのモノは、反り返っている。 けれど、なかなか、達してはくれない。 --------びちゃ。 --------くちゅ。 苦しくて苦しくて。 早く解放されたくて。 イルカは、ただ必死に、下を這わす。 赤黒く立ち上がったモノを、ただ、ひたすらに舐めて、口に含み、射精を促す。 手で、二つの膨らみを揉むことも忘れない。 柔らかな膨らみもたまに口に含み、やわらかく揉む。 青臭い液をこぼす入り口も、舌を尖らせて、舐めることを忘れない。 けれど、彼は、まだ、達してくれない。 もう顎ががくがくだった。 けれど‥‥‥。 でも。 頑張らないと。 頑張らないと‥‥‥。 「‥‥‥終わったよー」 不意に、世界が、明るくなった。 机の下から引きずり上げられたのだと、分かった。 そして、それを理解した途端、イルカは、真っ青になった。 『次の打ち合わせが終わるまでに、俺をイかせてね。できなかったら、お仕置きするからね。‥‥‥そうだね、今日は、イルカの小部屋で、繋いであげる』 楽しみだねぇ、と、告げられた言葉は、恐ろしい言葉だった。 イルカはそれを良く知っていた。 知りたくなかったけれど。 知っていた。 --------イルカの小部屋。 それは、火影室の隣に隠されて作られた部屋のことだった。 恐らくは内密の話をするために作られた部屋だったのだろう。あるいは、火影の護衛をする者の為の控え室だったのかもしれない。 どちらにせよ、そこは、いまは、イルカの為の部屋だった。 イルカをなぶる為だけの。 それ用の道具を取り揃えてある。 絶対に足を踏み入れたくない部屋だった。 「‥‥‥ふふ、おしっこ漏らして泣く姿、また、見せてね」 「‥‥‥い‥‥‥や‥‥‥いや‥‥‥」 「駄目だよ。イかせられなくて、しかも、悪さをした子にはお仕置きしなくちゃねぇ。躾は大切だもの」 ふふふふ、と、笑う人は、優しい人だった。 誰よりも優しくて誰よりも穏やかに笑う人で。 誰よりも好きだった。 なのに、いまは、その笑顔が、恐ろしい。 彼は。 許してくれないだろう。 どんなにイルカが嫌がって泣いても。 必ず、言葉通りに、するだろう。 「さーて、じゃあ、その前に、イルカの中でイかせてね。終わったら、繋いであげるから、お仕事終わるまで、良い子で待っているんだよ」 両足を広げられて、後ろに入れられていたモノが、ずるりと引きずり出される。 そして、中に溜められていたモノが伝い流れ落ちていく感触がして、イルカは、背筋を震わせた。 「‥‥‥んんっっ」 「ふふ、後ろ、広がっちゃったねぇ。閉じられなくて、なにもかも垂れ流しになる日も近そうだねぇぇぇ。カワイソウに」 でもそうなってもちゃんと面倒みてあげるからね、と、囁く人を見上げながら、大きく開かされた自分の太股を見ながら、イルカは、ただ、ただ、泣くことしかできない。 なにを言っても無駄で。 なにを訴えても無駄で。 もうどうしようもないのだと分かってしまっているから。 諦めるしかないのだ。 そして、なにもできずに、祈るしかないのだ。 彼の仕事が早く終わって、あの、恐ろしい部屋から、早く、連れ出して貰うことを。 「‥‥‥ん‥‥‥気持ちいいねー。好きな時に好きなだけあんたを抱けるなんて、サイコーだね」 けれど、本当に、恐ろしいのは。 本当に、恐れているのは。 もっと、違うことだった。 体中が燃えるような羞恥も悦楽も、本当に、恐れるものではない。 イルカが恐れているのは‥‥‥。 いまも、恐れているのは。 「‥‥‥ん‥‥‥あ‥‥‥んんっっっ!」 悦楽に流される体と同じように変わっていく自らの心だった。 優しい人を、イルカは、覚えている。 誰よりも穏やかな人を、愛していた。 いまの、変貌振りが、哀しくて、仕方なかった。 なのに。 なのに。 なのに。 悦楽に喜ぶ体と連動するように心が。 変わっていく。 優しい穏やかな笑顔が。 消えていく。 凶々しい笑みが重ねられて。 優しい抱擁よりも痛く苦しい拘束に体が馴染んでいく。 そして、それを‥‥‥。 喜んでしまう自分が。 徐々に徐々に、心を、蝕んでいく。 暗い喜びに顔を歪めて、なにもかもを、放り投げて、凶々しい強く美しい人の足下に、平伏してしまいたくなる。 だって、この、彼ならば。 この凶々しく恐ろしい彼ならば。 イルカは、逃げられない。 逃げなくて良いのだ。 --------それは、あまりにも、甘い誘惑で。 イルカは、その誘惑に、惹かれずには居られない。 だって‥‥‥。 まだ。 いや。 前よりも強く。 「‥‥‥イルカ‥‥‥イルカ‥‥‥イルカ」 手を伸ばしてはいけない遠い人を。 誰よりも。 愛しているのだから。
それが罪だと知りながら。 深く。 深く。 救いを求めることなど出来ないほどに。 罪深く。
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